「頭がよくなるボードゲーム」3選

 

皆さんは「ボードゲーム」をやったことはありますか? 

ボードゲームというのは、パソコンやスマホを使うのではなく、テーブルの上で複数人で遊べるゲームのことです。今やボードゲームができるカフェも登場するほどで、非常に多くの若者がボードゲームで遊んでいます。

このボードゲーム、実は東大生の中でも多くの人がハマっています。ボードゲームは頭を使って戦略を考えないと勝てないものが多く、それが東大生の心をつかんでいるというわけです。

今日は、そんなボードゲームの中から、東大生が勉強になると感じた知的に面白いゲームを「推測力」「語彙力」「想像・創造力」の3つの観点から紹介したいと思います。

ボードゲームは外出自粛の期間でも家で遊べるものなので、この記事を読んで面白いと思ったら、ぜひこの機会にプレイしていただければと思います。

まずは、楽しみながら世界史の勉強にもなり、さらに「推測力」まで高めてくれるゲームをご紹介します。

ボードゲームは楽しみながら勉強にも役立ちます。

 

1:推測力を鍛えてくれる「タイムライン」

最初にご紹介するのは「タイムライン」というゲームです。僕はこのボードゲームを初めてプレイしたとき、「こんなに世界史の勉強になるゲームがあるのか!?」と驚きました。

どんなゲームなのかと言いますと、歴史上の事件や発見や発明が書かれたカードがあり、それを実際の年代順に並べることができるかを競うゲームです。

例えば、人類が月面に初めて到着したのは第2次世界大戦の前か後か? 世界で初めてファストフード店ができたのは冷戦が始まる前か後か? 気球ができたのは大航海時代の前か後か? そんなふうに、いろんな世界史上の出来事の「順番」を考えていくゲームです。

「え? それって、年号とかを覚えていればそれで終わりってゲームじゃないの?」と思うかもしれませんが、違うんです。ある程度、カード同士の関連性から推理が可能なようになっているのです。

例えば、第2次世界大戦と活動写真(つまり映像・映画のこと)の開発って、どちらが早かったと思いますか? この問いに答えるのに、年号を覚えている必要はありません。きちんと時代の流れを理解していれば簡単な質問です。

第2次世界大戦の前には、各国政府が映像によって国民を鼓舞したり国民の心理を掌握していた様子が残っています。例えばナチスドイツは「プロパガンダ」として映像を使っており、プロパガンダ映画やナチスのコマーシャルをたくさん流していました。このように映像は、第2次世界大戦で各国の国民が団結する要因になったといわれています。ヒトラーの演説の様子を動画で見たことがある人もいるのではないでしょうか? あれは、この当時に使われていた動画の一部であることが多いのです。

そして、世界大戦は子どもや女性も含めた国民が総出で戦う「総力戦」になった、というのは教科書に書いてあることです。映像はこの「総力戦」を後押ししたのかもしれないというように、時代の流れを推理し、出来事同士を関連づけて考えることを、このゲームは後押ししてくれます。

この「映像」と「第2次世界大戦」のような「時代の並び(タイムライン)」は、多くのことを考える契機になります。ある出来事が世界にどのような影響を与えたのかを考えることは、歴史を勉強するうえで非常に役に立つのです。

ちなみに東大の世界史の入試問題でも、個々の出来事よりも出来事同士を結びつける問題が出題されています。東大入試では毎年、指定語句が8〜9個与えられ、その語句同士をいかにつなげるかが鍵になっている問題が出題されます。

関連性の理解によって歴史を深く洞察する……これは重要な勉強であり、東大が重視しているものなのです。「タイムライン」をプレイすることによって、そんな視点が身に付きます。皆さんも、このゲームで時代の流れをつかむ勉強をしてみてはいかがでしょうか?

ボードゲームの中には、言葉をうまく活用することで勝利に近づく、というものも多くあります。例えばひらがなでポーカーをして意味の通る言葉を作ることができた人の勝ちとなる「ひらがなポーカー」や、しりとりに文字数制限と時間制限を加えて遊ぶ「限界しりとりパーティー!」など、遊びながら語彙力も鍛えられる、そんなゲームが数多く存在しています。

 

2:語彙力を鍛えてくれる「カタカナーシ」

その中でも僕がおすすめなのは「カタカナーシ」です。これは「カタカナ」の言葉、例えば「リズム」とか「ゲスト」とか「メールアドレス」とかそういう言葉を、「カタカナ」を使わないで説明するゲームです。

ちょっと考えてもらえばわかるのですが、これが意外と難しいのです。「リズム」と言われても「え、リズムはリズムでしょ?」「えっと、メトロノームを使って……ってダメだ、メトロノームってカタカナじゃん!」と、うまく説明できなくなってしまうのです。

僕らは言葉を、何気なく使っています。しかし、それをいざ説明しようとすると、実はあまり意味を理解せずに使っていたことに気づきます。

例えば「バージョン」というカタカナ語を僕らはよく使いますが、これってどういう意味なのか説明できますか? 「バージョン」は、語源的には「転換」を指す言葉という説があり、なんらかの移り変わりを識別するものとして使われるものです。日本語でいえば、「版」という言葉がそのままドンピシャで「バージョン」と同じ意味です。

このゲームは、僕らがいかに無意識に言葉を操っているのかを思い知らせてくれます。普段何気なく使っている言葉を意識することで、語彙力が大きく向上するのです。

1万種類以上のカードを駆使するゲーム

最後はトレーディングカードゲーム(TCG)です。日本には多くのTCGがあります。東大生の中にもTCGが好きな人は多く、TCG専門のサークルもいくつかあるほどです。

TCGというのは、その名のとおりカードを使ったゲームなのですが、最大の特徴はその「カードの種類の多さ」です。普通のカードゲームなら、カードが一定の枚数・一定の種類で固定されている場合がほとんどです。トランプゲームは53種類、将棋は8種類の駒40個に固定されていますよね。

しかし、TCGはカードの種類が膨大です。「遊戯王」「ヴァンガード」「デュエル・マスターズ」など人気の高いゲームでは、なんとカードが1万種類以上あります。その中から自分の戦略に合わせてカードを自由に40枚だけ選んで、自分だけのデッキ(ゲーム開始時の自分の手札)を作り、勝負をするのです。

自由度が高いからこそ、戦略性が試される
これだけ自由に選ぶことができるゲームはほかにはなく、それこそがこのゲームの面白いところであり、勉強になるところでもあります。

自由だからこそ、どのようにして勝つのかという戦略を自由に想像することができます。勝ちパターンが無数に存在するのです。速攻で相手を倒す人もいれば、じわじわ粘って勝つ人も、相手を妨害して勝つ人もいます。いろんなデッキタイプがあり、無数の戦略があるからこそ、いろんなことを考えることができるのです。

その中で、想像が創造へと変わっていきます。「このカードを使って、こうやって勝とう」という想像を、「だから、このカードとこのカードを組み合わせよう」という具体的なデッキへと落とし込んでいく。それこそがTCGの醍醐味であり、かつ創造的な思考を育むと僕は考えています。

 

3:想像・創造力を鍛えてくれる「ヴァンガード」

デッキの創造という観点から見たとき、初心者におすすめなのは「ヴァンガード」です。

他のTCGに比べてデッキ構築に「定石」があり、自由度は高いけれど勝ちパターンを決めやすいので、始めやすいし楽しみやすいと思います。今の時期はリモートでのカードゲームも行われているそうなので、ぜひこちらでも楽しんでみてください。

いかがでしょうか? どんなゲームも1人で遊んでいるだけでは楽しくありませんし、どんな勉強も1人で勉強しているだけでははかどりません。ライバルがいて、戦う相手がいて初めて楽しくなります。

外出できないこんなときだからこそ、ほかの人と一緒に遊んでみていただければと思います。