入門用タブレット、買うならどっち?

にわかにテレワークが真っ盛りとなり、ノートPCの需要が高まっています。

そんなときにタブレットが1台でも手元にあれば、調べ物に使ったりサブディスプレイとして活用したり、動画を見るなどの息抜きに利用したりと重宝します。

 

●AppleとAmazonの10型クラスのタブレットを徹底比較

今、タブレットが欲しい! 買いたい! となった時に、真っ先に候補に上がるのはAppleのiPadでしょう。

元々タブレットとしての性能、使い勝手のよさはお墨付きであり、さらにエントリーモデルである現行の「第7世代iPad」(以下、iPad)は、実売価格が税込み3万8280円(32GBモデル)からとリーズナブルです。

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一方、これに対抗する製品として名前が挙がることが多いのが、Amazonの格安タブレット「Fire」シリーズ。

Fireシリーズは、基本的にAmazonのコンテンツを楽しむためのタブレットであり、汎用(はんよう)性ではiPadにかなわないが、

ほぼ同じサイズとなる10型モデル「Fire HD 10」(以下、Fire)は、前述のiPadと同じ32GBモデルで実売価格が税込み1万5980円

と、半額以下で入手できてしまいます。コストパフォーマンスはピカイチです。

この両製品を比較した場合、価格が倍以上するiPadが多くの点で優れているのは事実だが、一方でFire HD 10に分がある箇所も皆無ではなく、用途によっては評価が逆転することもあります。

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今回はこの第7世代iPadと、第9世代Fire HD 10について、代表的な10の項目をピックアップし、それぞれの優劣についてチェックしていきます。

 

●勝負01:画面サイズ対決→用途にもよるが両者ほぼ互角

iPadは、このモデルから画面が10.2型と、従来の9.7型から若干大きくなっています。Fireは10.1型なのでほぼ互角だが、画面の縦横比(アスペクト比)はiPadが4:3、Fireが16:10ということで、Fireの方が横に細長く、動画鑑賞時に上下の黒帯ができにくいです。

iPadは電子書籍に向いたアスペクト比で、どちらが便利と感じるかは用途によるだろう。解像度はiPadが2160×1620ピクセル/264ppi、Fireが1920×1200ピクセル/224ppiとiPadがわずかに上だが、目に見て分かる違いはない。

 

●勝負02:サイズ/重量対決→数字の差以上にiPadが有利

iPadは、同等サイズのiPadファミリーの中で最も重い(約483g/Wi-Fiモデル)が、それでもFire(約504g)に比べると軽量です。

厚みは約7.5mmと、同じiPadファミリーのiPad AirやiPad Proに比べると厚いが、Fireの約9.8mmよりは圧倒的に薄い。実際に手に

持つと数字以上の差を感じるため、長時間手に持ったまま使う機会が多いのであれば、iPadの方が有利と言えます。

 

●勝負03:容量対決→融通が利くのはむしろFire?

iPadは32GB/128GB、Fireは32GB/64GBと、容量の選択肢ではiPadが有利です。ただしFireはmicroSDメモリーカードスロットを

備え、容量を後から追加できるので、電子書籍や動画を大量にダウンロードしたいとなった場合も融通が利きます。またFireは長期間未使用のコンテンツを自動的にクラウド上に退避して容量を空ける「インスタントクラウド保存」なる機能もあり、限られた容量でやりくりするには便利な仕様です。

続いて、セキュリティやモバイルでの利用、アプリの充実度といった観点でチェックしてみましょう。

 

●勝負04:高級感対決→文句なしでiPadの圧勝

iPadは、画面に反射防止コーティングが施されておらず、上位のiPad Proに比べて色域が狭くTrue Toneディスプレイに非対応など差別化されているが、アルミ製のボディーはチープさを感じさせません。一方のFireは、いかにもプラスチックという素材で、お世辞にも高級感はないです。また摩擦などによる跡が付きやすく、ツメで引っかいただけで跡が残るのもネックです。両者の価格差が如実に表れており、文句なしにiPadの圧勝と言えます。

 

●勝負05:セキュリティ対決→iPadの完成度が上

ホームユースであっても、画面ロックなど最低限のセキュリティは欲しいところです。iPadが指紋認証(Touch ID)でロックを解除するのに対し、Fireは指紋認証も顔認証も対応しておらず、パスワードかPINでの手動解除となります。その面倒さゆえ、ロックをかけずに運用している人も少なくないようだ。宅内利用なら致命的な問題ではないとはいえ、この点もやはりiPadの方が安心感は上と言えます。

 

●勝負06:アプリの品ぞろえ対決→iPadが文句なしに圧勝

アプリの数と種類は、iPadの圧勝です。Fireに使われているFire OSはAndroidがベースだが、一般的なAndroidタブレットと違ってGoogle Play ストアは利用できず、独自アプリストアのラインアップはお世辞にも充実しているとは言えません。iPadOSやAndroidではあって当然のアプリが見当たらないこともしばしばです。その点iPadなら、使いたいアプリがストアにあるかどうか、事前に確認する必要もまずありません。

 

●勝負07:モバイル利用対決→iPad一択、Fireは出る幕なし

Fireは、Amazonのコンテンツを楽しむための製品ゆえ、外出先での利用は基本的に想定されていません。iPadのようなLTE対応モデルがないのはもちろん、地図アプリすらも選択肢が貧弱で、実質的にブラウザ上でGoogleマップなどを利用せざるを得ません。

さらにGPSを内蔵しないため、現在位置の取得はWi-Fiベースです。外に持ち出してナビゲーションに使うならば、iPadの一択と言えるでしょう。

 

●勝負08:スピーカー対決→動画視聴はFireが有利

スピーカーの搭載数はどちらも2基で、音質自体は五分五分だが、iPadはその2基のスピーカーがいずれもボディーの短辺側にあり、ステレオ再生には向きません。Fireのスピーカーは長辺側の左右に分かれて配置されているため、本体を横向きにすると左右からステレオで音が聞こえます。動画視聴時には画面を横にすることを考えると、Fireの方が実用性は高いです。ちなみにイヤフ

ォンジャックはどちらも標準で装備しており、有線イヤフォン派も安心です。

 

●勝負09:音声アシスタント対決→Fireが機能面でやや有利か

音声アシスタントはiPadが「Siri」、Fireは「Alexa」を搭載しています。どちらも音声アシスタントとしては互角の性能で、両端末ともハンズフリーでの利用に対応しているが、Fireは離れたところからでも画面が見やすい「Showモード」に切り替えられるなど、画面付きスマートスピーカーとしての運用が行えます。機能面ではFireに分があると見ていいでしょう。

 

●勝負10:パフォーマンス対決→iPadが圧倒的に有利

タッチ操作のレスポンスは、iPadの方が圧倒的に「ヌルヌルサクサク」で、ほとんどのアプリが待たされることなくスムーズに動作します。Fireも、Amazonプライム・ビデオやKindleといったAmazonのコンテンツを鑑賞するには差し支えないが、アプリを使っていて画面の切り替わりを待たされることはしばしばあります。フリーズするなどの致命的な問題はないとはいえ、iPadのような快適な操作性は期待しない方が、がっかりせずに済むでしょう。

 

結論

以上、今回の10番勝負では第7世代iPadが勝利したが、コストパフォーマンスという点では、やはりFire HD 10が群を抜いています。

いざとなれば画面付きスマートスピーカーとしても利用可能な点を含めて、つぶしが利くのは間違いのないところです。